【西伊豆・安良里ダイビング】大潮の潮止まりはトビエイ0枚?高確率で狙う海況条件と攻略法をプロが徹底解説!
こんにちは!👋 西伊豆のプロダイビングショップ「クリオネダイバーズ(Kurione DiverS)」の宇都宮浩人です。
5月中旬を過ぎ、伊豆の海もいよいよ初夏のベストシーズンに突入しました。この時期の西伊豆ダイビング、そして安良里ダイビングといえば、ダイバーなら誰もが一度は目の前で拝みたいエキサイティングなビッグターゲット……そう、「トビエイ(Myliobatis tobijei)」の回遊シーズンです!
運が良いと何十匹ものトビエイがフォーメーションを組んで中層を優雅に舞う、圧巻の「トビエイリバー」に遭遇できることもあります。しかし、トビエイは非常に潮に敏感な生物であり、「ただポイントに潜れば見られる」というわけではありません。
先日の2026年5月31日、安良里の海を贅沢にも「完全貸し切り状態」で常連のゲスト様たちと潜ってきました。海況は穏やか、大潮という最高のシチュエーション。しかし、結果はまさかの「トビエイ0枚」!なぜ大潮なのに見られなかったのか?そこには、タイドグラフ(潮見表)とトビエイの生態が深く関係する「明確な理由」がありました。
📍 本記事の目次
1. 【実録ログ】2026年5月31日 安良里・貸し切り海況レポート
まずは、今回の釣果ならぬ“透果”のベースとなった、2026年5月31日のリアルな安良里ダイビングの現場レポートをお届けします。
この日は、伊豆漁協 安良里潜水サービスのヘルプガイド。
ゲスト様たちは昨年「伊豆漁協 安良里潜水サービス」でご一緒した常連のゲスト様たち。
今回もヘルプガイドとして、気合十分で安良里のボートポイントへエントリーしてきました。

台風が接近・通過する前後で海況への影響が懸念されましたが、蓋を開けてみれば、安良里の海は至って穏やか!他のショップ様のボートもなく、なんとクリオネダイバーズ一行による「完全なる貸し切り状態」という、ダイバーにとってこれ以上ない贅沢な環境が整っていました。
| 項目 | 詳細データ(2026.05.31) |
|---|---|
| ダイビングポイント | 西伊豆・安良里(ボートポイント:沖の根) |
| スケジュール | 1本目 09:20エントリー / 2本目 11:30エントリー |
| 潮回り | 大潮(満潮および干潮の「潮止まり」のピークタイムに合致) |
| 水温 | 18℃(初夏のウェットスーツ移行期の水温) |
| 透明度 | 5m 〜 8m(春の濁りが適度に残る、トビエイ好みの水質) |
| トビエイ目撃数 | 0枚(完全不発) |
上記の通り、エントリー時間は現地のボート運行船のスケジュールの都合上、固定されて動かすことができません。そしてこの時間帯こそが、今回のダイビングにおける最大の分岐点、すなわち「大潮の潮止まり」の真っ最中だったのです。
2. トビエイ狙いの大前提!なぜ「大潮の潮止まり」は遭遇率が下がるのか?
ダイビングの世界において、「大潮=潮がガンガン動いて大物が出る最高の条件」というイメージが強く定着しています。それは間違いではありません。しかし、見落とされがちなのが「潮止まり」という盲点です。
結論から言うと、大潮であっても、満潮・干潮のピーク前後30分〜1時間程度の「水が完全に静止する時間帯」は、中層を泳ぐトビエイに出会える確率は劇的に低下します。その理由を、生物学的・流体力学的な観点から3つのポイントに分けて解説します。
① 向かい潮がなくなるため、ホバリング(静止)ができなくなる
トビエイは、鳥が空を飛ぶように大きな胸鰭を羽ばたかせて中層を遊泳します。彼らがダイビングポイントの「根のトップ」や「斜面」の一定位置に長時間とどまる際、自力で激しく泳いでいるわけではありません。
彼らは、正面から向かってくる強い潮の流れ(向かい潮)に対して自らの体を傾け、飛行機の翼と同じ「揚力」を得ることで、最小限のエネルギーでその場にとどまる「ホバリング(根待ちの姿勢)」を行っています。
しかし、潮止まりによって流れが「0(ゼロ)」になると、揚力が得られなくなります。その場でホバリングを維持するためには自力で泳ぎ続けなければならず、エネルギー効率が著しく悪化するため、トビエイたちはその場所にとどまる動機を失ってしまうのです。
② 深場(クローズドエリア)や遠くの沖合へ移動してしまう
流れのなくなったポイントから、トビエイたちは一斉に姿を消します。ではどこへ行くのかというと、主に以下の2つのエリアに移動します。
- 水深30mを超える深場・砂地の境界線: ダイバーの減圧不要限界(NDL)を越えるような深い場所に落ち、底に腹をつけてエネルギーを消費しないようじっと休憩モードに入ります。
- 完全に潮が止まらない広大な沖合: 沿岸部の地形的な影響で潮が止まりやすいエリアを避け、常に一定の水流が存在する外洋・沖合の回遊ルートへと戻っていきます。
③ プランクトンの集積が止まり、捕食スイッチがオフになる
潮が動いている時間帯は、地形(根)に潮がぶつかることで湧昇流(ゆうしょうりゅう)が発生し、トビエイの餌となるプランクトンやそれを追う小魚、甲殻類が根の周りに高密度で集積されます。これがトビエイたちの「捕食スイッチ」をオンにします。 潮止まりになると水中のダイナミズムが失われ、餌となる生物が霧散するため、トビエイが浅場の中層に上がってくるモチベーション自体が消滅してしまうのです。
3. プロガイドが教える、西伊豆・安良里でトビエイを高確率で当てる4つの条件
これまでのデータと経験から、西伊豆(安良里・田子・雲見・黄金崎など)のエリアにおいて、トビエイおよびトビエイリバーを引き当てるための「完璧な海況方程式」を導き出しました。予約を入れる際、あるいは当日のエントリー時間を組み立てる際の参考にしてください。
条件①:【時期】5月中旬〜7月上旬(初夏のピンポイント)
年間を通じて目撃例はありますが、圧倒的な群れを形成して浅場にコンスタントにアプローチしてくるのは、水温が冬の低水温期を脱し、18℃から22℃前後に上昇してくる「5月中旬〜7月上旬」の初夏限定です。真夏を過ぎると個体数がバラけ、単発での目撃が増える傾向にあります。
条件②:【潮回り】大潮・中潮の「動き始め(エントリー後30分〜)」
前述の通り、大切なのは潮の大きさ(干満差)だけでなく、「潜る時間に潮が動いているか」です。最強のタイミングは、潮止まりが終わり、タイドグラフのグラフが急激に上下に傾き始める「動き出しの最初の1時間」です。この時間は水中の緊張感が一気に高まり、トビエイがどこからともなく湧いてきます。
条件③:【潮の向き】西伊豆特有の「上り潮(北向きの流れ)」
安良里の「沖の根」や、お隣の田子エリアなどで非常に重要視されるローカルルールがこれです。潮が南から北(黒潮の支流が入り込む方向、現地では“富士山に向かって流れる潮”とも呼ばれます)へ流れる「上り潮」のとき、外洋からフレッシュな海水とともにトビエイの群れが地形に沿ってアプローチしてくる確率が跳ね上がります。
条件④:【水質】伊豆ブルーよりも、春の濁りが残る「薄濁り(透明度5〜8m)」
人間にとってはスカッと抜けた透明度20mの青い海が快適ですが、トビエイにとっては警戒心が非常に高まる嫌な環境です。逆に、プランクトンが適度に含まれ、水中が少し緑がかった「透明度5m〜8mの薄濁り」のときこそ、彼らはダイバーを恐れず、手の届きそうな距離(スキンダイビングのレンジ)まで大接近してくれます。今回の5月31日は、まさにこの最高の水質条件を満たしていただけに、潮止まりだけが悔やまれる結果となりました。
4. 水中でのプロの立ち回り。トビエイに逃げられない「根待ち」と「砂地捜索」
もし最高の海況条件が揃ったとしても、ダイバー側の立ち回りが間違っていれば、トビエイは一瞬で水くさく逃げ去ってしまいます。水中でのアプローチ方法には、鉄則とも言える2つのスタイルがあります。
スタイルA:潮が動いている時は「完全着底の根待ち」
中層にトビエイのシルエット、あるいはトビエイリバーの先頭を確認した瞬間、興奮してフィンキックで追いかけるのは絶対に厳禁です。人間がどれだけ必死に泳いでも、水中を羽ばたく彼らのスピードには遠く及びません。追いかけるダイバーの排気音(レギュレーターの泡の音)と大きな動きに驚き、群れ全体がルートを変えてしまいます。
正しい行動は、即座に近くの根のトップや斜面、岩陰などの安全な場所に姿勢を低くして「完全着底」することです。BCの空気を適度に抜き、岩をしっかりホールドして体を固定します。そして、呼吸を静かに整え、カメラを構えて彼らが潮に乗って目の前を通り過ぎるのをじっと待ちます。トビエイのルート上に静かにたたずむことができれば、向こうから驚くほど至近距離をすり抜けていってくれます。
スタイルB:潮止まりに当たってしまった場合は「広範囲の砂地べた底捜索」
まさに今回のログがこのパターンでした。潮が止まり、中層のホバリング個体が「0枚」だと判断した瞬間、ガイドとしての戦略を即座にシフトしました。
潮が止まっている時間のトビエイは、砂地に降りてお腹をつけて休憩しているか、あるいは砂の中に隠れているカニやエビ、貝類などの大好物を長い吻(ふん:尖った口先)を使って掘り起こして捕食しています。
そのため、中層を見上げる視線から、水深25m付近の広大な砂地を見渡す視線へ切り替え、ベタ底を這うように広範囲を捜索します。砂地でご飯を一生懸命食べているトビエイは、中層を泳いでいる時とは違った独特の可愛らしさがあり、マクロな観察や動画撮影にはもってこいです。(今回は残念ながら砂地でも不発に終わってしまいましたが、確率はゼロではありません!)
🔄 「今回は不発……だからこそ、次回の激アツなリベンジを約束!」
自然相手のダイビング、データ通りにいかないこともあれば、データ通りに渋いこともあります。
ゲスト様たちとは「次回は絶対に大潮の潮止まりを避け、ガンガン潮が動く絶妙なタイミングを狙ってリベンジしましょう!」と、固い約束を交わして笑顔でエキジットしました。このリベンジの過程こそが、ダイビングの最高の醍醐味です!
5. 「西伊豆 トビエイ ダイビング」のFAQ
Q1. 西伊豆の安良里や田子でトビエイの群れ(トビエイリバー)が見られる一番いい時期はいつですか?
回答:最も遭遇率が高く、群れを形成しやすいベストシーズンは「5月中旬から7月上旬」の初夏です。この時期は黒潮の支流が入り込み、水温が18℃〜22℃程度まで上昇し、トビエイの活性が年間を通じて最大になります。
Q2. トビエイを狙うダイビングで、大潮の日は必ず有利になりますか?
回答:大潮という潮回り自体は有利ですが、潜る時間帯が「潮止まり(満潮・干潮の前後約1時間)」に重なると、逆に遭遇率は大幅に低下します。トビエイはホバリングに必要な向かい潮を好むため、潮が完全に止まると深場や沖合に移動してしまいます。大潮の「潮の動き始め」を狙うのがベストです。
Q3. トビエイを狙う際、海の透明度は高い方が良いですか?
回答:いいえ、トビエイ狙いに限っては、スコーンと抜けた青い海よりも、春の濁りが適度に残る「透明度5m〜8mの薄濁り」の潮が最も有利です。水中が濁っている方がトビエイの警戒心が薄れ、ダイバーの至近距離まで自ら接近してくる確率が非常に高くなります。
Q4. 水中でトビエイを見つけたとき、カメラで綺麗に撮影するコツは?
回答:絶対に泳いで追いかけず、即座に近くの岩や根の斜面に着底し、動かずに待つ「根待ち」に徹することです。また、トビエイは中層を回遊するため、下を向いて探すのではなく、水面(太陽の光)を見上げるようにポジショニングすると、美しいシルエットラインを画角に収めやすくなります。
6. CMAS加盟店「クリオネダイバーズ」の店舗情報・公式LINEお問い合わせ
西伊豆・田子を拠点にする「クリオネダイバーズ(Kurione DiverS)」は、世界的なダイビング指導団体である「CMAS(世界水中連盟)」の正規加盟店です。
今回ご紹介した安良里でのエキサイティングなボートダイビングはもちろん、西伊豆トップクラスの地形派ポイント「雲見(くもみ)」の洞窟ダイブ、アオリイカの産卵や抜群の安定度を誇る「黄金崎(こがねざき)」のビーチダイブ、そして私たちのホームグラウンドであり、圧倒的な魚影とソフトコーラルを誇る「田子(たご)」の海まで、西伊豆の全エリアを網羅して快適にご案内いたします。
ベテランダイバー様のリクエストガンガンのドリフト・大物狙いから、ブランクがあって不安な方ののんびりリフレッシュダイブ、Cカードを取得したばかりのビギナー様まで、少人数制できめ細やかにサポートいたします。今回のログのような「潮回りを徹底分析したプロのアプローチ」で、最高の水中世界へお連れします!
🏠 ショップ案内(Googleマップ・MEO対応)
| ショップ名 | クリオネダイバーズ (Kurione DiverS) |
| 主宰・ガイド | 宇都宮 浩人 (Hiroto Utsunomiya) |
| 所属指導団体 | CMAS (世界水中連盟) 正規加盟店 |
| 固定電話番号 | 0558-53-2012 |
| 店舗所在地 |
〒410-3514 静岡県賀茂郡西伊豆町田子2045-5 ※周辺の各種ご宿泊施設、ダイビングポイントへのアクセスも車でスムーズな好立地です! |
西伊豆・安良里のトビエイリバーリベンジ大作戦、あなたのご参加を心よりお待ちしております!
